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東光寺(とうこうじ)は和歌山県田辺市の湯の峰温泉にある天台宗の寺院。山号は薬王山。 伝承によれば、湯の峰温泉の源泉の周囲に湯の花が自然に積って薬師如来の形となったものを裸形上人が見出し、本尊(湯峯薬師)として創建したという〔本宮町史編さん委員会132 〕。古くは本尊の胸から温泉が噴出していたため、湯の胸温泉と呼ばれていたものが転訛して現在の湯の峰温泉の名になったとされている〔「角川日本地名大辞典」編纂委員会696 〕。 == 歴史 == 寺伝によれば、天仁元年(1108年)、鳥羽天皇の勅願により与えられた寺領に二重塔(多宝塔)を建立したのが開創であるとし〔〔平凡社578 〕、熊野信仰の隆盛とともに諸堂塔や仏像が造立されたという〔。また、『西国三十三所名所図会』が伝えるところによれば、後鳥羽院の時代に役行者の開創とも伝える〔が、明確な開創年代は未詳である。 院政期の熊野参詣記を見ると、藤原宗忠の『中右記』天仁2年(1109年)11月1日条に湯の峰温泉で「湯屋浴之」との記述があり、万病を除く名湯と賞賛されているが、湯屋以外に関する記述は見られない〔本宮町史編さん委員会133 〕。大治3年(1128年)に調整され、天文4年(1535年)書写された熊野本宮大社伝の古文書には、平安時代後期に薬師如来を本尊とする堂塔が存在したことを推測させる記述があり、仁和寺蔵の『熊野縁起』(正中3年〈1326年〉)には境内に湯ノ峯王子が祀られたとあるほか〔〔、鎌倉時代の熊野曼荼羅図には、湯峯金剛童子が薬師堂に隣接して描かれている〔。こうしたことから、湯の峰温泉での湯垢離による潔斎が重視されるにつれ、王子の別当寺として機能するようになっていったものと見られている〔〔。永徳2年(1382年)5月26日の『総検校頼舜等衆議下知状』(『紀伊続風土記』所収)には湯峯観音堂の灯明料に関する記述があり、境内の観音堂への言及が見られる〔。中世には温泉とともに時宗の念仏聖が管理していたと見られ、時宗の勧進唱導の説経節として知られる『小栗判官』には、照手姫がハンセン氏病に苦しむ小栗を湯の峰温泉に運んで病を癒したとあり、それにちなむ車塚がある〔「角川日本地名大辞典」編纂委員会696-697 〕。また、寺地の北の県道沿いには一遍上人爪書名号と伝えられる磨崖名号碑(正平20年銘)〔県指定史跡「磨崖名号碑」(1967年〈昭和42年〉4月14日指定)。〕があり、念仏聖の事跡として知られる。 天正18年(1590年)には豊臣秀吉の造修があり、片桐且元を奉行として薬師堂・多宝塔が修繕された〔。江戸時代には真言宗古義派に属する無本寺として、本宮社家の支配下におかれ(『紀伊続風土記』)〔「角川日本地名大辞典」編纂委員会697 〕、元和年間には、新宮水野氏領のうち、5石が寺領とされていた〔。この時期の境内の様子がいくつかの古文書に伝えられており、『本社及摂末社其外諸建物目録』(寛永10年〈1632年〉)には、3間四方の薬師堂以下、王子、湯屋、瑞籬、多宝塔、6間5間の東光寺、門といった建物が記され、熊野那智大社所蔵の『熊野三山図』および『熊野三山絵図添目録扣』には同様の建物が記され、薬師堂、王寺社、多宝塔、上湯屋について造替対象であると記されている〔本宮町史編さん委員会134 〕。鎌倉時代末以降に定着した、湯の峰温泉において湯垢離による潔斎の後、本宮大社に参詣するという儀礼〔平凡社794 〕は、近世においても続き、諸士や本宮社家の使う湯槽とは別に一般参詣者向けの湯槽が設けられ、にぎわいを見せた〔様子が『紀伊国名所図会』熊野篇に描かれている〔。 明治以降、廃仏毀釈こそ免れたものの〔、寺領を失い、当時の住職が還俗して本宮の神官となったことで無住無檀となり、明治5年(1872年)に廃寺となったが、1879年(明治12年)、村民の願出により那智山青岸渡寺末の天台宗寺院として再興された〔。1903年(明治36年)5月に、湯の峰温泉一帯が火災に見舞われた際に寺堂も焼失したものの、本尊は焼失をまぬがれ、その他の仏像・宝物等も避難に成功したため、信徒有志の寄附により1931年(昭和6年)に薬師堂が本堂として再建された。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「東光寺 (田辺市)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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